秋の実り(稲のある風景)


 中山間地域の定義は、林野率50%以上、耕地率20%未満とされているが日本においては
耕地面積の42%、約220万ha、農家人口は約690万人が住む。
 地形的には急峻な僅かな棚田、分割された農地、水田が散在しており機械化が困難で
生産効率が悪く、国際的な価格競争において不利な状況に置かれています。
 しかしながら、客観的に考えれば現在の農業は、食料自給、安全な農産物の生産
、景観の維持、森林と一体化した国土保全、適正な人口分散を図る等の問題を内包している。
 農業政策としては、人口減少、高齢化、農産物価格の下落に対する施策、生産効率の向上、
換金性の高い農産物への転換、市場と連動した販売等の努力はされているがあまり効果が
あがっていないのが現実である。
 今後において、都市との関係において考えた場合、農村の存在をコストのかかる地域として
位置付けして適正な投資をしないとの施策には問題がある。
 都市とは、自然環境と隔絶され『closed system』である筈は無く地域環境と密接に連動
した存在と定義されるべきである。
現在のトレンドとして、国際的な自由競争の関税割高の代表的な分野として、農業を狙い撃ち
にした施策が唱えられているが、食の安全を念頭においての発言か理解に苦しむ。
 食の安全は、現在の無責任な国際的な農業生産体制では不可能なことが、BSE、鳥ウィルス
人体に有毒な農薬の使用等の報道にて立証されつつあります。
 環境に負荷を与える都市が自然環境を保全して、水資源、国土保全、食料生産、大気浄化、
電力生産の役割を果たしている農村地域に対して『都市の自立』を唱えても矛盾がある。
 都市においては、地価が高騰して面的な施設は当然割高になり、公的施設、商業施設、金融機関
、道路、通信施設等の最小限の施設の設置が効率ある土地利用である。面的に割高な施設は農村、
山間地域が設置コストは安く国土の有効利用からしても効率がよい。
ダム、原子力発電施設等はすべて山間地域か辺境の海岸の物流の便利のよい地が選定されて
いるのが現状である。このように考えれば、都市と農村地域は対立関係でなく相互依存の関係である。
極論をすれば、都市とは食料、飲料水、電力等の自給、排出物の地域内の処理は無理である。
相互依存的な流通、社会経済システムが確立されていることを前提に農村問題を考える必要がある。
 国際的な産業競争力がある、一部企業の利益が結果として日本の利益との産業政策を否定は
しないが、農村地域を犠牲にした国際協調、農産物関税引き下げは看過することは出来ない。
 

 中山間地域の稲の実り

赤トンボの群れ飛ぶ水田



コンバインによる刈り取り


圃場の区画の不整形、棚田の存在、用排水施設の整備 不良
農道の整備等において、今後いかに生産効率を上げるか課題 は
多い。

水 資源保全、森林管理、棚田管理をして地域社 会を維持している。

 


中山間地域の高齢化、人口減少、生産意欲の減退に対して模索をしているが悩みは深い。
都市の一極集中的な発想は、農村を疲弊させやがては日本人の存立基盤を忘れさせる
ような気がする。 『心の故郷』として稲作文化、稲のある景観を大切にしてほしい。