三嶺の晩秋(フスべヨリ谷)

 平成16年度は、台風の当たり年で8月から9月に かけて16号、18号が続けて襲来した。
その影響か、今年は山系の紅葉も眼を見張る鮮やかさは無く、本当に寂しかった。
 ただ、この三嶺(さんれい)のフスべヨリ谷は、青ザレの西方の山腹の大崩壊により大量の
土砂や流木が流れてかっての面影が無くなっていた。 この崩壊地をシカザレと 呼びたい。
 しかし、自然の悠久たる営みは偉大で、除〃にではあるが、かっての山紫水明の穏やかな
渓流に戻りつつあります。 平 成16年11月13日から14日にかけての晩秋のスケッチ
 三嶺の登山道の整備も兼ねて、この渓流を散策してきました。
崩壊当時は、土砂が渓流に堆積してミオ筋が明確でありませんでしたが、数回の降雨で泥、微砂や
流木の類は洗掘されて河床が低下しつつあります。ミオ筋とは、水の流れる場所
 本来の渓流は、基盤と岩石が散乱する荒々しい渓谷であり、この姿に回帰しつつあるような気がします。
砂防工学において、ドイツ語表現をすると野渓をald-bachと呼ぶがこの言葉が三嶺の渓谷に はぴったりです。
 当日は、午前中から快晴で登山道整備の用具を持ち、八丁小屋を午前9:00過ぎに出発した。
渓流に注ぐ光は、晩秋そのもので木の葉を登山靴で踏むとサラサラと乾いた音がして、感傷的になった。

          三 嶺の頂上が遠望出来る沢の朝の流れ       



                         ヌ スビト岩の下流付近の渓流

  
  登山道の形跡は無 く、河床が上昇しているのが判る。


 渓 谷の岸にあった 樹木が、木製ダムにより河床の中にある。


                        堂 床の川原付近のモミジ


   シ カザレの崩壊状況。
      
     
     青 ザレに分岐する登山道より稜線を見るが、木々が冬の様相をして
     三嶺の稜線も、冷たい風が北から吹いていた。