私の個人的趣味で、登山をしていると否応無く山村に行きますし、自分自身が都会の生活を
拒否して自称『仙人』として生活しています。
私自身のコンセプトに、自身が山林をある程度所有しているならばその場所を離れた山林経営
はありえないとの思いがあります。
しかしながら山村を取り巻く環境は年々悪化の一途を辿っています。
農林水産省の実態調査によれば、昭和35年度には、林業従事者は全国で約44万人でしたが
平成12年度には、約7万人に減少しており、約1/6となった計算になります。
高齢化も進んでおり、平成12年度における全産業が指数が8に対して、林業従事者は指数
が25と約3倍となっています。
産業として成立しない状況に陥ったのは、昭和35年には木材自給率88.7%であったが
平成8年には20%に低下したのが原因です。
木材自給率の推移を見ると、昭和35年ぐらいから昭和50年までに急激に減少していて、
この年で39%になっています。
この時期は、日本の高度経済成長であり木材の輸入量増加と連動しています。
現在山村は、このような社会状況で過疎化、高齢化、後継者のいない廃屋の増加ばかりが
やけに目立ちます。
現在のままでゆくと、山村には人はいなくなり森林の育林、間伐作業は出来なくなり適正な
森林管理は不可能になるのでは。森林の適正な管理は不可能になり放置された山が多い。
地球環境の温暖化防止、水資源の涵養、空気の清浄化、気候の調整作用等森林の効果は
評価されるが視点が定まっていない机上の空理空論ではないか。
具体的に指摘すれば、山林の管理をする地域定住の住民がいないのに何ゆえに上記のような
機能効果の実現が可能なのか。
下は高知県馬路村魚梁瀬の杉の美林
地域開発としてかっては、林道の建設が山奥まで建設され環境破壊として指摘された例は
多くすべてが効果が無いとはいえないが木材価格が下がった今問題が多い。
林道施設は建設単価が投資効果を考え比較的安価に建設されており、降雨時の災害が
多い。 剣山のス−パ−林道、石鎚スカイライン等の現況を見ればよく判ります。
災害時の維持管理が現在の国家的財政危機となれば、完全に行われるのか不安です。
ましてや、間伐の為に森林内を開設した、間伐林道は施工を簡単にして地山を掘削した状態
で放置していますので、維持管理しなければ二次災害は当然発生します。
農林水産省の統計速報によれば、平成12年12月の杉、ヒノキの価格がそれぞれ
径14〜22cmで14,300円/m3 ,30,800円/m3となっています。
これは平成9年と比較すると63%〜67%になっています。
古い単位の石当りで換算すれば、0.28m3/石ですので杉が4,000円/石、ヒノキが
8,600円/石となります。採算ラインの単価が杉で7,000円/石、ヒノキで15,000円/石
と言われています。現在の木材価格がいかに山元からすれば安いか判ると思います。
現在の木材価格であれば、造林、育林の費用捻出が不可能です。
民有林で伐採後に造林していない山を見かけますが、原因は植林の費用が無いのです。
逆説的に考えれば、本来の天然林に戻るのでいいのでは.......。
自然保護を主体に考えている人にすれば景観林として機能するとかの考えもあるかもしれないが
森林の経営として考えれば、倒産と同じことなのです。
下は、高知県土佐町の瀬戸川の清流
木材価格の下落の原因は、輸入材が大量にかつ安価に市場に流通していることです。