水の特性について
 地球上の水は、降水、蒸発、浸透、流出の過程を繰り返す循環をしています。
水文学の専門用語で、hydrologic cycle と呼ばれます。
 地球上に水がどの位あるかは、資料に拠れば13〜14億km3程度と云われます。
分布としては、海洋が大部分で97.5%で河川水は0.0001%しかありません。
 我々が何気なく利用している水資源が全地球的な視点に立てばいかに貴重なかが
理解できると思います。
 全地球の平均降水量は、950mm/yに対して、日本の平均降水量は
1800mm/yと理解しておけばいいのでは。

 1)  水の一般的性質

 水を工学的な観点から考えると、4℃の時比重は1.00000であり15℃で0.99913
 40℃で0.99225と僅かながらですが変化します。
流体力学においては、水の粘性はτ=μ(dν/dy)と表示されμは粘性係数と
呼ばれ、(dν/dy)は速度勾配であり境界面に沿って摩擦を生じこれを粘性といいます。
粘性係数は水の場合実験式にて、温度の関数式で表される。
 その他の水の性質として、水は常温(20℃)で0.019m3/水1m3の空気を含みます。
 この吸収量は、温度と圧力の関数となります。
  海水の場合の比重は、実用上は1.025 として計算して問題ないようです。
 化学的には、H2Oで表示されて、水素と酸素の化合物ですが電子が緩い結合をしています。
 水を0°Cから100°Cに高める熱量は539cal/gであり、氷から水の状態に変化する
場合の熱量を潜熱といい、80cal/gの熱量が必要です。
 自然界の水蒸気の発生、雲、雨、生物の営みとこの熱変化の媒体として水は大きな役割
を果たしています。
 水は、物を溶かす性質があり自然界の物質循環に大きな役割を果たしています。
海水1kg中に含まれる成分で最も多いのが、Na+とCL−の塩ですが、k+やMg2+や
CA2+等の金属を溶解しており、陰イオンとしては、硫酸イオン、炭酸水素イオン等が
含まれています。その他の金属イオンも海水中には微量ですがほぼ存在します。

2)水文学上の水

 水は、地上、或いは海面から太陽のエネルギ−で蒸発して水蒸気となりやがて雨水として
降りてくる。
 降水の基本的な定義は、次のようになります。
地上にて、雨水を受けて溜まった水の深さを時間当りに換算する。

これを平均降雨強度といい、 mm/h  ......(1)   で定義します。

 時間雨量の定義において、定時刻最大値 t  と任意に採った最大値Rtとの値はワイスの

公式で次のように提案されています。  Rt/rt=1.14.......(2)

 降水が広範囲に及ぶ場合は、一点の観測地では信頼性が問題になるので次の式を使う。

  R=1/A 煤iai.Ri)..........(3)

 流域内の等雨量線図における区分面積ai  その区分の雨量Ri  狽ヘiからnまでを合計する。
 Aは領域全体の面積。Rは雨量強度  この基本式を応用した公式がThiessen法である。
  多角形の流域面積として算定する。
  降った雨が蒸発する場合の水収支の問題もあるが、実用上はあまり重要ではない。
 降った降雨は、基本的な表面流出、中間流出、基底流出に分類されこのグラフは、hydrograph
 または量水曲線といわれます。
                       −ct
 基本式として      t=*e    ........(4)
 
  パソコンの表示上誤解があるかもしれないので、補足するとeを底とする−ctの指数関数です。
 ここで、は最初の流出量で単位はm3/Sで、tは時間t日後の流量を表します。
   水文学の実習で、片対数グラフ上で、各成分を分離したが難しく習熟が必要です。
 ダムの放水路の断面決定、道路構造物の排水構造物の決定において重要な公式が、
  peak 流量算定式です。 rational公式といわれます。 

 Qp=f r A3,6............(5)

   ここで、Qは、最大流出量  m3/s  fは流出係数で、水理公式集に物部博士の表として
 掲載されています。 Aは流域面積でkm2  rは確率降雨雨量(mm/h)
 構造物の重要度に応じての、生起確率を採用する。
   流出係数fの数値として急峻な山地であれば0,75〜0,90 耕地で0,45〜0,6   
  山地上河川では0,75〜0,85   という値を採用する。
  ここで問題となるのは、流域の面積の大小により洪水の伝播時間が異なることを
 考慮する必要があります。

 一般に洪水波の伝播時間は   T=L/w..........(6) となります。
           0.6
 w=72(H/L)..............(7)  となります。
  
 Hは標高差    Lは地形図に示される流路延長   wは洪水の伝播速度m/hです。
  この速度の算定により、降雨強度を採用しなければpeak流量に誤差が生じる恐れがあります。
 その他、観測値が充分得られていない地域の洪水到達時間算定式として、角屋、福島公式が
 あります。

     0.22    −0.35
Tp=CA     * re       .........(8)

 Tp:洪水到達時間(min)  A:流域面積(km2)  re:有効降雨強度(mm/h)
 C:土地利用に応じての係数    例えば市街地は70   山地地域は290

 かって、上記のような考えにより私が計算した例を紹介します。  地点は.....とします。
 最終的には、河川構造物の水通し部の断面決定に利用した例です。